6月議会 一般質問ご報告
【6月議会 一般質問ご報告】市庁舎改修の「一旦見送り」と、町内会×学校アプリ「逆回覧」の提案
朝霞市議会議員の渡部竜二(国民民主党)です。 いつも市政に関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
令和8年6月の朝霞市議会定例会において、私は一般質問に登壇し、市政の重要な2つのテーマについて、市の考えを問いました。本日は、その内容と「何が前進したのか」を、市民の皆さまにできるだけ分かりやすくご報告いたします。
少し長くなりますが、いずれも私たちの暮らしと税金の使い道に直結する大切なテーマです。最後までお付き合いいただけますと幸いです。
今回の一般質問でとりあげた2つのテーマ
今回、私が市にただしたのは次の2件です。
市庁舎の長寿命化改修工事について。入札に応募がゼロだった「入札不調」と、資材価格の急騰をふまえ、計画を一度立ち止まって見直すべきではないか。
地域コミュニティ(町内会・自治会)の希薄化対策について。若い子育て世代の加入をどう増やすか。学校で使われている連絡アプリ「TETORU(テトル)」を活かせないか。
一見すると別々のテーマに見えますが、どちらも「限られた税金と人手の中で、いかにムダなく、市民の負担を小さくしながら、まちの暮らしを守るか」という同じ問題意識から取り上げたものです。
それでは、順番にご報告します。
件名1:市庁舎の改修工事、市が「一旦見送り」を決定
そもそも、何が起きたのか
朝霞市は、老朽化が進む市庁舎を建て替えずに、長く使い続けるための「長寿命化改修工事」を計画していました。これは、これまでの議会での議論を経て決まった方針であり、私自身もその判断は尊重しています。
ところが本年5月、市から「5月14日に予定していた工事の一般競争入札について、応札する事業者が一者もなく、中止となった」という通知が示されました。
予定していた工事費は**14億7,200万円(税抜)**という大きな金額で、工期は令和10年3月までという計画でした。それにもかかわらず、手を挙げる建設会社がゼロだったのです。これは、私たちの暮らしに身近な市役所の工事計画にとって、見過ごせない出来事でした。
私はこの問題を質問通告(事前に「こういう質問をします」と届け出る手続き)として提出していました。その後、6月26日の全員協議会でも改めて議題になることが分かりましたが、私が提起したかった論点は「まさに今、市全体で議論すべき課題」であるとの思いから、予定どおり質問に立ちました。
私が問いたかったのは、「これまでの決定を覆すこと」ではありません。決定の「後に」生じた、計画策定時には誰も想定できなかった事態(入札不調・資材高騰)に、市としてどう向き合うのか。この一点でした。一度立ち止まって計画を検証することが、結果として市民負担を最小限にし、事業を確実に進めることにつながると考えたのです。
質問でただした3つの論点と、市の答え
① なぜ応札ゼロだったのか。予定価格は適正だったのか
私は、応札者がゼロだった原因と、14億7,200万円という予定価格が現在の実際の工事費に照らして妥当だったのかを問いました。さらに、その金額が「いつの時点の単価」で計算されたのかも確認しました。
市の答えは、人件費・材料費の上昇に加え、中東情勢による原油由来の建材の高騰や入荷の不透明さが主な原因、というものでした。そして重要なのが、予定価格の計算に使った単価が「令和8年3月時点」のものだったという点です。
この3月の単価は、もとをたどれば前年(令和7年)10月調査がベース。つまり、**今年2月末以降に深刻化した中東情勢の「前」**に基づく金額だったのです。後の答弁で、市自身がこの点を認めることになります。
② 「働きながらの工事」のコスト増は、ちゃんと見込まれていたか
市役所は、業務を続けながら改修工事を行います。窓口対応や電話の支障、騒音規制の制約から、コンクリート解体などうるさい工程は、実質的に土日・夜間に集中せざるを得ない性格の工事です。
私は、休日・夜間の割増賃金や、交替制のための人員確保といった「上乗せコスト」が、予定価格にきちんと反映されていたのかを問いました。
市の答えは、夜間・土日の割増は積算に入れておらず、「週休二日制工事」としての補正のみを反映している、というものでした。私が複数の建設事業者に直接確認したところ、「この条件の厳しさでは応札を見送らざるを得ない」という声が共通して聞かれており、現場の実感とも一致する答弁でした。
③ 予定価格と「市場の実態」にズレはなかったか
これらをふまえ、私は「予定価格と実際の市場価格との間にズレ(乖離)があったのではないか」と問いました。
市は、「建設業者へのヒアリングなどから、予定価格と市場実態価格との乖離があったと考えられる」と明確に認めました。しかも市自身も独自に建設業者へのヒアリングを行っていたとのこと。私の主張と、市の認識が同じ土俵に立った瞬間でした。
資材高騰という「想定外」をどう見るか
続いて私は、今年2月末以降の中東情勢を背景に、世界の海上原油輸送の約2割を占めるとされるホルムズ海峡が事実上封鎖された事態を取り上げました。これにより、石油を原料とする断熱材・塗料・塩ビ管・ビニールクロスといった建材への価格波及が懸念されます。
これは、工事の告示(4月8日)の「後」に表面化した、計画段階では織り込みようのなかった環境変化です。
私が「告示時点の積算のまま再入札して、今の市場で落札が見込めるか」と問うたのに対し、市は**「現在の積算はホルムズ海峡封鎖の影響が生じる前に算出したもので、同様の内容のままでは落札は難しい」**と明言しました。これは、私が引き出したかった核心の答えでした。
さらに、公共工事の設計労務単価が14年連続で上昇し、全国全職種の加重平均が初めて2万5,000円を突破したことにも触れ、労務費と資材費の上昇が重なる今、現計画をそのまま執行することの妥当性を問いました。
これに対し市は、**「6月12日の庁議において、市庁舎長寿命化改修工事を一旦見送ることを決定した」**と表明しました。私が件名1で目指した「一度立ち止まる」という到達点が達成された瞬間です。
「再検証」と「議会への報告」を約束させる
工事を一旦見送ったうえで、私は「再開する際には、工事の条件・仕様・発注方式を見直す考えはあるか」と問いました。市は**「事業を再開する際には、改めて設計内容の検証も必要」**と答えました。
また、土日・夜間に工事が集中する場合の市民サービスや職員への影響と対策、再入札に向けたスケジュール、条件緩和や分割発注の可能性についても確認しました。市は、資材価格や供給が安定した段階で効率的に実施できるよう社会動向を注視するとし、加えて**「特に早期の実施が必要で、資材高騰の影響を受けにくい改修項目については、単独での実施も検討したい」**と答えました。
そこで私は、優先度の高い改修を「切り分けて」先に行う場合でも、全体の検証と齟齬が生じないよう整合を図り、節目ごとに議会へ報告してほしいと確認。市は**「工事再開やその後の方向性が定まった際には、都度お示しする」**と約束しました。
私の意見・要望
最後に、答弁を求めない「意見・要望」として、次のことを記録に残しました。
市が一旦見送りを決定し、再開時に改めて設計内容の検証を行うとされたことを、私は高く評価します。その検証にあたっては、これまでの長寿命化という手法を当然の前提とせず、市民の負担が最も小さくなる最適な手法を、幅広い視野で検討していただくよう、強く要望します。
決定を否定するのではなく、想定外の事態を受けて立ち止まり、最もムダの少ない道を選ぶ。その姿勢を市と共有できたことが、件名1の大きな成果でした。
件名2:町内会の加入率低下と、学校アプリ「逆回覧」の提案
子育て世代が増えるまちで、なぜ町内会は細るのか
朝霞市は、子育て世代の転入が続く、活気のあるまちです。しかし一方で、転入された方々の町内会・自治会への加入率が低いことが課題になっています。
地域コミュニティは、防災、子どもや高齢者の見守り、そして「共助」の基盤です。その希薄化は、決して見過ごせるものではありません。
私自身、宮戸町内会の副会長を務め、朝霞第三小学校のPTA会長も務めています。回覧板に小・中学校の「学校だより」を入れて回している、まさに当事者です。その実感から、ひとつの提案を持って質問に臨みました。
まず、現状を確認する
私は、町内会・自治会の加入率の推移と、特に若い子育て世代・転入世帯の加入状況の把握について問いました。
市の答えによると、加入率は**令和5年1月の37.5%、令和6年の35.6%、令和7年の34.5%**と、3年連続で低下傾向にあります。そして重要なのは、世代別・転入者別の加入状況は把握していないと明言された点です。実態が分からなければ、効果的な対策は打てません。この「把握の不在」が、後の要望につながります。
加入率低下の要因について市は、共働き世帯の増加によるライフスタイルや価値観の変化を挙げ、希薄化が見守りや防災といった共助の機能に影響を及ぼすことも認めました。
提案:流れを逆にする「逆回覧」
ここからが本題です。
これまでは、町内会・自治会が回覧板に「学校だより」を同封して配るのが一般的でした。私が提案したのは、その流れを逆にする発想です。
本市の小・中学校では、令和6年度から保護者連絡アプリ「TETORU(テトル)」が全校で導入されています。子育て世代がすでに毎日使っているこのアプリを通じて、町内会・自治会のお知らせを届けられないか——これが「逆回覧」の考え方です。
総務省の実証事業では、地域のデジタル化の最大の壁は「新しいアプリを住民に入れてもらうこと」そのものにあると報告されています。「これ以上アプリを増やしたくない」という声が多いのです。私の提案は、すでに使われているアプリに相乗りするため、この壁を最初から回避できる点に強みがあります。一から仕組みを作るより、低コスト・低負担で情報を届けられます。
市の答えと、粘り強い再質問で開いた「配信の余地」
最初の答弁で教育委員会は、TETORUは緊急連絡やペーパーレス化が目的であり、「町内会や特定団体の会報・日常的な案内を配信することは考えていない」という慎重な姿勢でした。
しかし私は、近隣自治体の事例を足がかりに、再質問で論点を深めていきました。
【運用の問題か、制度の問題か】 東京都北区では一部の学校が校長判断で地域情報を配信している例があると分かりました。私が「配信できないのは制度上の問題ではなく、運用上の判断の問題ではないか」と問うと、市は**「制度上不可能というわけではなく、運用の判断によるもの」**と認めました。
【子ども向け行事なら配信できないか】 町内会主催の夏祭り・防災訓練・子ども会・ラジオ体操などは、まさに子どもと子育て世代が対象の行事です。会報そのものではなく、こうした行事案内や防災・見守り情報に限れば配信の余地があるのでは、と問いました。市は**「参加対象が校区全体の児童生徒・保護者であり、学校から全保護者に案内することが妥当な場合には、学校の判断により配信の余地はある」**と答えました(※会員限定の行事は対象外、内容・頻度・配信日は精査が必要との留保つき)。
【部門をまたいだ連携を】 この課題は教育委員会だけでは完結しません。地域コミュニティを所管する市民環境部との連携が必要だと問うと、市民環境部長は**「ご質問の趣旨を踏まえ、教育委員会と協議していく」**と明言しました。
加えて、地域づくりを担う所管課も「TETORU等を活用した情報発信は、自治会・町内会の活動を知ってもらうことにつながる」とその意義を認めました。学校教育部と市民環境部の双方が前向きな姿勢を示し、両部門で協議していくことになったのは、大きな一歩です。
町内会のデジタル化支援についても確認
このほか、町内会・自治会のデジタル化支援についても問いました。市は、先進自治体である横浜市を視察し、本年1月に自治会連合会と共催でデジタル化支援説明会を開催したとのこと。今後も各町内会の実情に応じ、できることから一緒に取り組むと答えました。
一方で、高齢の役員の方々がデジタルツールを導入する際の市の支援メニューは「現状なし」、加入を促すインセンティブ施策も「現状検討していないが、調査・研究していく」という答えでした。相模原市のマイナンバーカードを活用した地域活動ポイント制度や、北九州市の加入促進事例集など、他自治体の取組も紹介しました。
私の意見・要望
件名2の締めくくりとして、3つの要望を申し上げました。
実態の把握:効果的な対策の前提として、子育て世代・転入世帯の加入状況の把握に努めること。
協議の具体化:両部門の協議を、子ども・子育て世代に資する地域情報の配信という具体的な形につなげ、対象や配信ルールの整理を進めること。
- 支援とインセンティブ:高齢の役員へのデジタル化支援メニューの整備や、加入を促すインセンティブ施策についても、先進自治体の事例を踏まえ、前向きに検討すること。
対立するのではなく、市が認めてくれた前進(共助への影響の認識/TETORU活用の意義/両部門の協議)を確認しながら、まだ埋まっていない3つのギャップ(実態把握の不在・高齢役員への支援メニューなし・インセンティブ未検討)を、前向きな宿題として記録に残す。そういう締めくくりにしました。
まとめ ―― 今回の質問で得られた成果
最後に、今回の一般質問で前進した点を整理します。
【件名1:市庁舎改修】
市が6月12日の庁議で、工事を**「一旦見送る」**ことを決定したと表明。
予定価格と市場実態との**「乖離があった」**ことを市が認めた。
「現在の積算のままでは落札は難しい」と市が明言。
再開時には**「設計内容の検証」を行い、節目ごとに議会へ都度報告**することを約束。
「長寿命化を当然の前提とせず、市民負担が最小となる手法を幅広く検討してほしい」と要望を記録。
【件名2:地域コミュニティと逆回覧】
加入率が3年で37.5%→34.5%へ低下し、共助・防災・見守りへの影響を市も認識。
学校アプリTETORUでの地域情報配信について、**「配信の余地はある」**との答えを引き出した(校区全体を対象とする子ども・子育て・防災・見守り情報に限る/会員限定行事は対象外/内容・頻度は精査要)。
配信は制度上の禁止ではなく**「運用上の判断の問題」**であると確認。
市民環境部が教育委員会との協議を明言し、部門連携の入口を確保。
いずれのテーマも、最初から市と私の意見が一致していたわけではありません。けれども、対立をあおるのではなく、事実とデータを一つずつ積み重ね、「市民の負担を小さくする」という共通の目標に立ち返って対話を重ねた結果、市から具体的な前進の言葉を引き出すことができました。
市役所の工事も、町内会のあり方も、決して華やかなニュースではないかもしれません。けれども、私たちの税金がムダなく使われ、いざというときに助け合えるまちであり続けるために、これからも一つひとつの課題に、地に足をつけて取り組んでまいります。
これからも、皆さまの声をお聞かせください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
朝霞市議会議員 渡部竜二(国民民主党)
** 朝霞市議会議員 わたなべ竜二 | 国民民主党 埼玉県朝霞市 ** * 国民民主党所属・朝霞市議会議員わたなべ竜二(渡部竜二)の公式サイト。朝霞駅・朝霞台駅・北朝霞駅エリアを中心に、朝霞市をもっ * * ryu2-w.jp *
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