子どもが生成AIを使い始めたら|家庭で決めておくこと・学校のルール・朝霞市の現状
朝霞市議会議員のわたなべ竜二です。2児の父でもあります。
「子どもが勝手にAIで宿題をやっていた」「スマホで“AIとしゃべってる”けど、放っておいていいのか」——最近、保護者の方からこの手の話をよく聞くようになりました。
正直に言うと、学校でも家庭でも、まだルールが追いついていません。禁止するのも違う気がするし、放置するのも怖い。その気持ちのまま止まっている方が多いのだと思います。
そこで、国の考え方と朝霞市の現状を整理して、家庭で今日から決められることをまとめました。あわせて、9月議会で市に何を確認するかもお伝えします。
結論を先に
- 国は「禁止」とは言っていません。むしろ**「一律に禁止・義務付けるなどの硬直的な運用は望ましくない」**としています(文部科学省ガイドライン Ver.2.0)
- 国の基本の考え方は**「人間中心の利活用」**。出力は参考の一つで、最後は人間が判断し、責任を持つ
- 朝霞市の学校には、すでにAIドリルが入っています(生成AIとは別のものです)
- 一方で、生成AIについて市独自のルールがあるのかどうかは、公表されていません。ここを9月17日の一般質問で確認します
- 家庭でできることは、実はそんなに多くありません。**「入れない情報を決める」「答えを写さない線を決める」「疑う癖をつける」**の3つです
1. 国は「使うな」とは言っていない
まず、いちばん誤解されている点から。
文部科学省は2024年(令和6年)12月26日に、「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」Ver.2.0 を公表しています。2023年7月の暫定版を改訂したものです。
このガイドラインは学校の先生や教育委員会向けに書かれたものですが、保護者が読んでも意味があります。国がどういう前提に立っているかがわかるからです。
要点は3つです。
(1)人間中心の利活用
生成AIを有用な道具になり得るものと捉え、出力を参考の一つとして、リスクや懸念を踏まえた上で、最後は人間が判断し、責任を持つことが重要
——ここが土台です。AIが出したものは「答え」ではなく「材料」。判断するのは人間、という立て付けになっています。
(2)一律禁止は望ましくない
教育委員会向けの部分に、はっきりこう書かれています。
一律に禁止・義務付けるなどの硬直的な運用は望ましくない
つまり国は、「全面禁止」も「全員に使わせる」も、どちらも取らない立場です。学校ごと・場面ごとに考えろ、と言っています。
(3)発達段階に応じて
児童生徒が学習活動で使う場面については、発達の段階や情報活用能力の育成状況に留意したうえで、リスク対策を講じて検討すべき、とされています。小学1年生と中学3年生を同じ扱いにはしない、ということです。
このガイドラインが挙げている注意点は、安全性、公平性、情報セキュリティ、個人情報・プライバシー、著作権、透明性と説明責任——大人の職場で言われていることと、ほとんど同じです。
2. 家庭で決めておきたい3つのこと
学校のルールが固まるのを待っていると、その間も子どもは使います。家庭で先に決められることを挙げます。
(1)「入れない情報」を決める
これがいちばん重要で、いちばん簡単です。
入れないもの:本名、学校名、住所、電話番号、顔写真、友達の名前、家族の話
生成AIのサービスは、入力した内容がどう扱われるかがサービスごとに違います。難しい話を理解させるより、「この5つは打ち込まない」と決めるほうが早いです。
大人でも同じで、私も市の資料を扱うときは同じ線を引いています。
(2)「写す」と「調べる」の線を決める
ここが親としていちばん悩むところだと思います。
私は、こう分けるのがわかりやすいと思っています。
- アウト:出てきた文章をそのまま提出する
- セーフ:意味がわからない言葉を説明してもらう/自分が書いたものを読んでもらう/調べる取っかかりを探す
**判断の軸は「自分の頭を通したか」**です。読書感想文をAIに書かせたら、その子は本を読んでいません。でも、読んだうえで「この場面の意味がわからない」と聞くのは、辞書を引くのと大差ありません。
正解はまだ誰も持っていないので、家庭で話し合って決めた線でいいと思います。決めていないことが問題なので。
(3)「そのまま信じない」癖をつける
生成AIは、もっともらしい嘘をつきます。存在しない本の名前や、間違った年号を、堂々と出してきます。
これは欠陥というより仕組み上の性質なので、なくなりません。だから、
「へえ、そうなんだ」ではなく「本当かな、で、どこに書いてあった?」
この一言を習慣にできるかどうかが、ほぼすべてです。これは実は、AIがなくても大事な力です。SNSでも同じことが起きているので。
なお、サービスによって利用規約で年齢の条件が定められています。お子さんに使わせる前に、そのサービスの規約を一度ご確認ください。
3. 朝霞市の学校は、いまどうなっているのか
ここは事実の確認です。
朝霞市は2024年9月に教育ネットワークを入れ替え、学習AIドリルを導入しています。不登校の児童生徒への学習支援にもAI搭載型のオンラインドリルが使われていることが、議会で答弁されています。
ただし、ここで言う「AIドリル」は、一人ひとりの理解度に応じて問題を出し分ける仕組みで、文章を作る「生成AI」とは別のものです。混同されやすいので、あえて書いておきます。
このあたりは別の記事に詳しくまとめました。
4. わからないこと——9月17日に市へ聞きます
では生成AIのほうはどうなっているのか。ここが、調べても出てこないところです。
朝霞市議会の9月議会(令和8年第3回定例会)の一般質問は、9月16日・17日・18日の3日間で、17人の議員が質問します。市議会が公表した日別の割り振りによると、私は9月17日(木曜日)、この日の6人のうち3番目です。
通告した内容は次のとおりです。
1 学校教育における生成AIの利活用について
(1)本市における生成AI利活用の現状について
- ① 学習活動における児童生徒の生成AI利用状況
- ② 校務における教職員の生成AI利用状況
(2)生成AI利活用に関するルール整備について
- ①「朝霞市GIGAスクール構想に係るタブレット端末の取扱い規定」における生成AIに関する規定の有無
- ② 国のガイドライン改訂を踏まえた、本市独自の利活用方針策定に向けた検討状況
(3)教職員研修及び家庭・保護者との連携について
- ① 教職員向け生成AI研修の実施状況及び今後の計画
- ② 児童生徒の家庭における生成AI利用に関する保護者への周知・啓発及び相談体制の整備状況
最後の項目が、この記事を書いた理由そのものです。家で子どもがAIを使い始めたとき、保護者はどこに相談すればいいのか。 今のところ、その窓口がはっきりしません。
5. なぜこれを聞くのか
私は「AIを学校にどんどん入れろ」と言いたいわけではありません。
理由は単純で、保護者が困っているからです。
学校が禁止しているのか、認めているのか、そもそも決めていないのか。それがわからないと、家庭でも決めようがない。子どもに「学校では使っていいの?」と聞かれて答えられない、という状態がいちばん困ります。
市議会議員は24人のうちの1人で、市の方針を決める立場ではありません。決めるのは市と教育委員会です。私にできるのは、現状を明らかにして、必要な整備を求めることまでです。
ただ、「今どうなっているか」が議会の答弁として記録に残れば、家庭でも学校でも次の判断ができます。まずはそこからだと思っています。
質問と答弁の結果は、この記事に追記してご報告します。
傍聴・視聴について
一般質問は誰でも傍聴できます。議場に来ていただいてもいいですし、市議会のインターネット中継でご覧いただくこともできます。
一般質問通告書(市議会):令和8年第3回一般質問通告書
一般質問の日別割り振り(市議会):令和8年第3回定例会 一般質問の日別割り振り
ご家庭で「こういうことも聞いてほしい」ということがあれば、お気軽にご連絡ください。通告済みの範囲内であれば、当日のやりとりの中でふれられるかもしれません。
