朝霞市の学校のデジタルはどこまで進んだか|ゼロトラスト・学習AIドリル・tetoruを保護者向けに解説
朝霞市議会議員のわたなべ竜二です。2児の父でもあります。
「子どもがタブレットばかり触っている」「学校のデジタル化って、実際どうなっているの?」——保護者の方からよくいただく話です。
朝霞市の学校のデジタルは、2024年9月に大きく変わりました。そして、すでにAIは学校に入っています。市が公表している資料と議会の答弁から、いま何がどうなっているのかを整理します。
結論を先に
- 2024年9月、朝霞市は教育ネットワークをゼロトラスト・フルクラウド化しました
- 同時に学習AIドリルを導入。一人ひとりの学習レベルに応じた課題を出す仕組みです
- 不登校の児童生徒への学習支援にも、AI搭載型のオンラインドリルが使われていることが議会で答弁されています
- **tetoru(テトル)**との連携で、欠席連絡など保護者から学校への連絡が電子化されました
- 教職員側は、シングルサインオンとロケーションフリー化でテレワーク環境が整備されました
- 一方で「生成AI」——ChatGPTのような文章や画像をつくるAI——を学校でどう扱うかは、まだ表に出ていません。私は2026年9月17日の市議会で、これを質問します
1. 2024年9月、教育ネットワークが入れ替わりました
朝霞市は2024年1月に公募型プロポーザルを実施し、その結果を受けて新しい教育ネットワークの契約をユニアデックス株式会社と締結。2024年9月から運用を開始しました。
採用されたのは**ゼロトラストネットワーク(アクセス制御型ネットワーク)**で、フルクラウドによる構築です。市の説明では、文部科学省が示す「クラウドサービスの利活用を前提としたネットワーク構成を目指す」方向性に沿ったものとされています。
少し噛み砕きます。
従来の学校ネットワークは、「校内は安全、外は危険」という前提で、境界に壁を作って守る考え方でした。これだと、外から使おうとすると途端に不便になります。
ゼロトラストは逆で、**「どこからのアクセスも、まず疑う」**という前提に立ちます。そのかわり、誰が・どの端末から・何にアクセスしようとしているかを毎回確かめる。結果として、学校の中でも外でも同じように使えるようになります。
私はシステム開発を仕事にしていますが、この設計変更は小さくありません。校舎という壁の中に閉じていた学校のITが、場所から解放されたということです。
2. すでに「AI」は朝霞市の学校に入っています
新しい教育ネットワークと同時に、市は学習AIドリルを導入しました。市の説明はこうです。
学習AIドリルを導入し、児童・生徒の「個別最適な学び」を推進し学力向上を図ります。 児童・生徒一人一人の学習レベルに応じた課題で個別最適な学習環境を実現します。
出典:朝霞市「教育ネットワークをゼロトラスト・フルクラウド化しました!」
紙のドリルは、クラス全員が同じ問題を解きます。AIドリルは、その子が間違えた問題の傾向を見て、次に出す問題を変えます。得意な子はどんどん先へ、つまずいた子はその手前に戻る——これが「個別最適な学び」と呼ばれているものです。
そして、この仕組みは教室にいる子だけのものではありません。
令和6年6月の市議会で、学校教育部長は不登校の児童生徒への支援について(別の議員の質問に対して)こう答弁しています。
「学習プリントの配布やオンライン授業の実施、AI搭載型のオンラインドリルの活用を通じて当該児童生徒への学習支援を実施しているところです」
**学校に行けない日も、学びは止めない。**そのための道具として、すでにAIが使われています。
なお、朝霞市の不登校児童生徒数は、同じ答弁で令和2年度204人、令和3年度261人、令和4年度350人と示されました。3年で1.7倍です。決して他人ごとではない数です。
3. tetoru——欠席連絡が電子化されました
新しい教育ネットワークでは統合型校務支援システムを導入し、保護者連絡システムtetoruと連携しています。
市が挙げている効果は次のとおりです。
- 学校から保護者への通知を電子化(ペーパーレス化)
- 保護者から学校への連絡(欠席連絡等)を電子化
- 双方向の保護者連絡システムを整備
朝、子どもが熱を出したときに、学校へ電話がつながるのを待たなくてよくなった——この変化を実感されている方は多いと思います。
ちなみに私は、令和8年6月の市議会で、このtetoruを町内会・自治会の情報伝達にも使えないかを質問しました。市の答弁は「運用の判断」というもので、制度上できないわけではないことが確認できています。
4. 先生の働き方も変わります
見落とされがちですが、この変更は先生の働き方にも直結します。市が挙げている効果です。
- 教職員の業務負担の軽減により、児童・生徒一人一人と向き合う時間を確保
- シングルサインオンと認証システムの強化で、利便性とセキュリティを両立
- ロケーションフリー化により、教職員のテレワーク環境を整備
先生が学校にいる時間の中で、事務作業に取られる分が減れば、その分は子どもに向きます。デジタル化の一番の目的は、そこだと私は考えています。
なお朝霞市全体で見ると、テレワークの実施率は令和6年6月時点で**市全体の職員の2.7%**でした。理由は電子決裁システムが未導入で、家では決裁ができなかったこと。教育ネットワークの側が先に整ったかたちです。
5. では「生成AI」はどうなのか——9月17日に質問します
ここまでの「AI」は、学習ドリルのAIです。決められた範囲の中で、その子に合った問題を出す仕組み。
一方、いま社会で急速に広がっているのは生成AIです。ChatGPTのように、文章を書き、絵を描き、質問に答える。子どもたちは、学校が教えるより先に、家庭でこれに触れています。
朝霞市の学校では、これがどう扱われているのか。**公開されている資料からは分かりません。**だから議会で聞きます。
**2026年9月17日、朝霞市議会の一般質問で、私は「学校教育における生成AIの利活用について」を取り上げます。**通告した内容は次のとおりです。
(1) 本市における生成AI利活用の現状
- 学習活動における児童生徒の生成AI利用状況
- 校務における教職員の生成AI利用状況
(2) 生成AI利活用に関するルール整備
- 「朝霞市GIGAスクール構想に係るタブレット端末の取扱い規定」における生成AIに関する規定の有無
- 国の「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」改訂を踏まえた、本市独自の利活用方針策定に向けた検討状況
(3) 教職員研修及び家庭・保護者との連携
- 教職員向け生成AI研修の実施状況及び今後の計画
- 児童生徒の家庭における生成AI利用に関する保護者への周知・啓発及び相談体制の整備状況
特に(3)の2つ目を、私は保護者の立場でも聞きたいと思っています。**家庭で子どもがAIを使うとき、親は何を知っておけばいいのか。**困ったときにどこへ相談すればいいのか。学校の中のルールだけでは足りません。
一般質問は9月16日から18日までの3日間で、私は通算11番目です。**傍聴は誰でもできます。**市公式のライブ配信・録画配信でもご覧いただけます。
6. 私が生成AIを「使うべき」と言い続けている理由
私はシステム開発の現場で、毎日のように生成AIを使っています。だからこそ、両方の面が見えます。
便利です。同時に、間違えます。もっともらしい嘘を、堂々と書きます。
だから「危ないから禁止」でも「なんでもAIに任せる」でもなく、どこからなら安全に始められるかを一つずつ詰めるというのが、私が議会で取ってきた立場です。
行政の側では、実際にそれが形になりました。令和6年9月議会で「導入には至っておりません」だった朝霞市は、令和7年9月議会で「個人情報や機密情報を含まない文書作成業務から活用を始めることは有効」との答弁を経て、令和8年4月に生成AIの活用を開始し、6月に「朝霞市生成AI活用指針」を策定しています。
→ 行政における生成AIの利用について(令和6年9月) → 生成AI活用について(令和7年9月)
同じことを、今度は学校で。**大人の職場で使えるようになったものを、子どもの学びの場でどう扱うのか。**ルールがないまま子どもだけが先に触れている、という状態こそ避けなければならないと考えています。
質問の結果は、この記事と議会で引き出した答弁のページに追記します。
出典
- 朝霞市「教育ネットワークをゼロトラスト・フルクラウド化しました!」(2024年9月17日更新)
- 朝霞市議会「一般質問通告書」令和8年第3回定例会
- 朝霞市議会 令和6年6月定例会 会議録(不登校児童生徒への学習支援・実数に関する学校教育部長答弁)
- 朝霞市議会 会議録検索システム
