【データで見る朝霞】市の貯金は2年で約6億円減った——財政調整基金・市債・経常収支比率でみる朝霞の財政
朝霞市議会議員のわたなべ竜二です。「データで見る朝霞」第4弾は、まちのお財布です。
市が公表している「朝霞市の財政(令和7年度版)」と、議会の会議録から、朝霞市の現在地を数字で確認します。専門用語は使いますが、全部かみ砕いて説明します。
結論を先に
- 市の「貯金」=財政調整基金は、令和4年度末の約29.7億円から令和6年度末の約23.5億円へ、2年で約6.1億円減りました
- 市の「借金」=市債残高は約338億円(全会計・令和6年度末)。減少傾向でしたが、令和6年度は増加に転じました
- 自由に使えるお金の少なさを示す経常収支比率は97.6%(令和6年度)。県内40市中33番目
- ただし、法律で定められた健全化の指標は、いずれも基準を下回っています。いま危機的な状態というわけではありません
- 一方で市は令和7年12月の議会で、**「新規拡充事業の費用を入れない状況でも、令和12年度には財政調整基金が枯渇する」**という見通しを示しました
1. 市の「貯金」——財政調整基金
財政調整基金は、市が積み立てている貯金です。市の説明では「景気の影響などによる大幅な減収や地震や台風などの災害発生による想定外の支出が増えるなど、思いもよらない収入の減少や予定外の支出の増加に備えて、安定した財政運営を行うために積み立てている貯金」とされています。
| 年度末 | 残高 |
|---|---|
| 令和2年度末 | 27億9,064万円 |
| 令和3年度末 | 27億0,007万円 |
| 令和4年度末 | 29億6,677万円 |
| 令和5年度末 | 25億4,511万円 |
| 令和6年度末 | 23億5,382万円 |
ピークだった令和4年度末から、2年間で約6.1億円減りました。
貯金は、使うために積むものです。減ること自体が悪いわけではありません。問題は、この先も減り続ける見通しかどうかです。それは後半で触れます。
2. 市の「借金」——市債残高
市債は、市が国や銀行から借りるお金です。道路や学校など、長く使う施設をつくるときに使います。市の説明では「市民が長期間にわたって使用する施設であれば、それを将来利用する市民にも借金の返済という形で負担してもらいます」——つまり世代間で負担を分け合うしくみです。借金がある=悪、ではありません。
| 年度末 | 一般会計 | 水道 | 下水道 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 令和2年度末 | 267.1億円 | 48.0億円 | 35.0億円 | 350.1億円 |
| 令和3年度末 | 260.4億円 | 45.3億円 | 35.0億円 | 340.7億円 |
| 令和4年度末 | 245.6億円 | 45.4億円 | 35.9億円 | 327.0億円 |
| 令和5年度末 | 236.8億円 | 52.2億円 | 37.3億円 | 326.3億円 |
| 令和6年度末 | 242.6億円 | 54.1億円 | 41.3億円 | 337.9億円 |
市は「返済額より借入額が増えないよう計画的に運用しているため、市債残高は減少傾向にありましたが、令和6年度は令和5年度から実施している第六小学校、第九小学校校舎増築事業の影響などにより、市債残高は増加しました」と説明しています。
子どもが増えて校舎を建て増した結果の増加です。人口が増え続けるまちの、必要な投資でもあります。
(参考までに、市の公表人口145,938人でこの338億円を単純に割ると、市民一人あたり約23万円になります。年度の基準が少しずれるので、あくまで規模感の目安として書いています。)
3. 自由に使えるお金——経常収支比率
ここが朝霞市のいちばんの特徴です。
経常収支比率は、市の説明では「人件費や扶助費などの経常的な経費に、地方税などの経常的一般財源がどの程度充当されているかをみる指標」。この数字が高いほど、決まった支出でお金が埋まってしまい、新しいことに使えるお金が少ないということです。
令和6年度の朝霞市は97.6%。前年度から0.1ポイント上昇し、県内40市中33番目でした。
一方で、財政力指数——自前で稼ぐ力を示す指標——を見ると、朝霞市は令和6年度で0.979。県内市の平均0.815を大きく上回っています。
ここに、朝霞市の財政の性格がはっきり出ています。
稼ぐ力は県内でも上位。なのに、自由に使えるお金は少ない。
税収そのものは悪くない。けれど、入ってくるお金のほとんどが、人件費や社会保障といった「毎年必ず出ていく支出」で埋まってしまっている、ということです。
4. ただし——法律の健全化指標は、すべて基準内
ここは正確にお伝えしなければなりません。
「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」では、4つの指標に**早期健全化基準(イエローカード)と財政再生基準(レッドカード)**が定められています。朝霞市の状況は次のとおりです。
| 指標 | 令和6年度 |
|---|---|
| 実質赤字比率 | -(赤字なし) |
| 連結実質赤字比率 | -(赤字なし) |
| 実質公債費比率 | 5.2% |
| 将来負担比率 | 17.5% |
市の資料は「朝霞市ではいずれの指標も基準を下回っており、早期の健全化を求められる状況ではありません」と明記しています。
つまり、いま朝霞市が財政破綻に向かっている、という話ではありません。そこは誤解のないようにお願いします。
ただ、実質公債費比率は令和2年度の4.7%から5.2%へ、将来負担比率は令和5年度の11.3%から17.5%へ上がっています。方向としては、負担が増える側に動いています。
5. 議会で示された見通し——「令和12年度には枯渇」
令和7年12月の朝霞市議会定例会で、市は中期財政計画を策定・公表したことを説明しました。会議録に残っている総務部長の答弁は、こうです。
「今後の新規拡充事業の費用を入れない状況でも令和12年度には財政調整基金が枯渇するものとなりましたので、庁内及び市民の皆様にも早急に周知する必要があると考え、公表したところでございます」
言い換えると、新しい事業を何ひとつ増やさなくても、いまのままなら貯金は令和12年度に尽きるという試算です。市はこれを、早急に周知すべき事柄だと判断しました。
計画は毎年見直されるものなので、この見通しがそのまま実現すると決まったわけではありません。ただ、市自身が「早急に周知する必要がある」と判断した数字である、という事実は重く受け止めるべきだと考えています。
なお、この中期財政計画には4市共用火葬場の建設費は含まれていません。同じ議会で「4市共用火葬場の建設については、建設費用等が未定のため、財政計画には反映しておりません」と答弁されています。火葬場の建設費は概算で108億円とされており、これは別枠ということになります。
→ 朝霞地区4市共用火葬場建設計画について(議会で20項目を質問しました)
6. では、どうするのか——私が議会で言い続けていること
支出を切り詰める話は、どうしても市民サービスを削る話になります。私は、その前に歳入(入ってくるお金)を見直すべきだと考えています。
令和7年6月の議会で、私は市税の内訳を質問しました。答弁で示された令和5年度決算の構成は、こうです。
| 税目 | 市税に占める割合 |
|---|---|
| 個人市民税 | 46.9% |
| 固定資産税 | 38.0% |
| たばこ税 | 3.7% |
| 法人市民税 | 3.4% |
企業活動から入る法人市民税(3.4%)は、たばこ税(3.7%)より少ない。市民の皆さんが納める個人市民税と固定資産税に、8割以上を頼っている構造です。
金額でみると、令和5年度決算の法人市民税は8億4,004万円。令和7年度の当初予算では8億838万9,000円と、前年度と同額に据え置かれました。同じ年度の予算で、たばこ税は約8億2,000万円です。
このとき市の答弁は「いずれかの税に焦点を当てて強化策の中核として位置づけるというような考えにつきましては、現在のところ持ってございません」でした。私は、割合が低いからこそ戦略的に伸ばすべきだと申し上げました。人口増だけに頼り続けるのは、土地に限りがある朝霞では続きません。
→ 法人市民税の現状と課題について → 企業誘致及び産業基盤整備について
まとめ
- 貯金(財政調整基金)は2年で約6.1億円減り、令和6年度末で約23.5億円
- 借金(市債残高)は約338億円。令和6年度は小学校の校舎増築で増加に転じた
- 経常収支比率97.6%。稼ぐ力はあるのに、自由に使えるお金は少ない
- 法定の健全化指標はすべて基準内。いま危機ではない
- ただし市自身が「新規拡充を入れなくても令和12年度に財政調整基金が枯渇する」と公表した
- 火葬場(概算108億円)の建設費は、その計画にまだ入っていない
数字は、怖がるためではなく、判断するために見るものです。これからも公表されたデータをもとに、分かりやすくお伝えしていきます。
出典
- 朝霞市「朝霞市の財政(令和7年度版)」(財政調整基金残高・市債残高・経常収支比率・財政力指数・健全化判断比率)
- 朝霞市議会 令和7年第4回定例会 会議録(中期財政計画・4市共用火葬場に関する総務部長答弁)
- 朝霞市議会 令和7年第2回定例会 会議録(市税の内訳に関する総務部長答弁)
- 朝霞市議会 会議録検索システム
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