DX・デジタル令和6年 第1回定例会(2024年3月)
デジタル化推進について
なぜ取り上げたか
当選後まもない、私にとって最初のDXに関する一般質問です。冒頭でこう申し上げました。「私はDXの推進ということを選挙公約に掲げて当選させていただきましたので、今後4年間、デジタル推進課の皆様には御迷惑をかけるかもしれませんが、4年間を通じてDX関係の質問をさせていただきたい」。以来、毎定例会でこの分野を取り上げ続けています。この日の主題は、国のガバメントクラウドへ移行するにあたって、朝霞市が自前でシステムを触れる形を残せるかどうか。技術的にはここが分かれ道でした。
質問した内容
- 1.標準準拠システムへの移行状況・スケジュール
- 2.クラウドサービスの選定
- 3.ベンダー選定方法
- 4.デジタル推進課の人材
- 5.デジタル庁との連携
市の答弁
- 総務部長は進捗として、行政手続のオンライン化で「本年度は新たに介護関係の11手続の電子申請が可能となるように整備」、標準化は対象20業務で現行システムと国の標準仕様書を比較中、テレワークは実証実験中と答弁した。
- ガバメントクラウドの利用方式について、「単独利用方式では、自治体にクラウドサービスを選定する余地がありますが、共同利用方式の場合は、基本的にシステムベンダーが採用したクラウドサービスを使用することになります」と説明。朝霞市は20業務とも共同利用方式を検討しており、「市の裁量でクラウドサービスを選定することは難しく、システムベンダーが採用したクラウドサービスを利用することを想定」との答弁だった。
- 共同利用方式を選んだ理由は「標準化対象となる20業務のうち、17業務については平成30年から共同利用方式で提供するクラウドサービスを継続して利用しており、本市の業務に必要となるサービスが支障なく提供できている状況」。この実績から安定したサービス提供が見込めると判断したとした。
- これに対し私は、自分自身がクラウドを使うエンジニアである立場から、単独利用方式を強く求めました。共同利用方式ではアカウントが異なるため仮想サーバーやデータベースにアクセスできず、たとえば「朝霞の森の申込みをウェブで」といった小さな改善すら自前ではできません。あわせて、行政こそソースコードをオープンソースにすべきだと述べ、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトが公開後3週間で多数のエンジニアの改善提案を取り込み、70以上の自治体で活用された例を紹介しました。
- 答弁は「議員の御指摘を踏まえますと、将来的には単独利用方式を採用する可能性も検討するべきと思いますが、まずは令和7年度末までを期限とする標準準拠システムへの移行に当たりましては、市民生活に影響を来さないことを最重視し、安定かつ着実に移行できる方策として共同利用方式を採用」というものだった。
- ベンダーロックインについては、公正取引委員会が令和4年2月8日に発表した官公庁の情報システム調達に関する実態調査報告書で、98.9%の自治体が既存ベンダーと再度契約し、48.3%が「既存ベンダーしか既存システムの機能の詳細を把握することができなかった」ためと回答している事実を示して質問。市は現行ベンダー3社と継続契約する予定とし、「ほとんどのシステムベンダーが既存顧客の対応を最優先し、新規顧客の受入れを行っておらず、別のベンダーへの切替えは難しい状況」と答弁した。
- 外部のデジタル人材については、総務省の地域情報化アドバイザー派遣制度で短期の専門家を招いていると答弁。奈良県生駒市が最高デジタル責任者(CDO)を年収約1,130万円で公募していた例を挙げて常勤の専門人材を求めましたが、「現在のところ、CIO等として外部人材の方を長期的に任用する具体的な予定はありませんが、他市の事例などをよく研究いたしまして、本市にとってよりよい方法を考えてまいりたい」との答弁でした。なお令和5年度からデジタル推進課の職員1名を地方公共団体情報システム機構へ派遣していることが明らかになった。
- 最後に富岡勝則市長(当時)が「デジタル化は組織的に推進を図ることが重要であるというふうに考えております。その主導的な立場を担う部署として、令和4年度にデジタル推進課を新たに設置した」と答弁。一方で「市民の皆さんにとって有益な行政サービスを提供していくためには、窓口業務をよく知る職員が持つ考えも積極的に取り入れる必要がございます」「特定の部署、あるいは人物に限らず、行政サービスの提供を受ける市民の目線で全ての職員が主体的に業務を見直していくことが重要」と述べた。
質問の結果・その後
- 「将来的には単独利用方式を採用する可能性も検討するべき」——この答弁が、その後につながりました。
- 翌年の令和7年3月議会で、市は「運用経費が2倍程度となる見込みであることは市としましても課題であると認識しております」と答弁。国の試算では3割下がるはずだった費用が、逆に倍増する見込みだと認めました。そこで改めて示した「サーバーは市が持ち、共通ルールを決めてアプリ部分だけを発注する」という方式に対しては、「有効な方策の一つかと考えます」との答弁を得ています。
- 1年目に「将来的には検討すべき」、2年目に「有効な方策の一つ」。議会での質問は、一度で結論が変わるものではありません。同じ問題を、根拠を足しながら繰り返し問うことで、答弁は少しずつ動きます。
- この日の宣言どおり、DXに関する質問は毎定例会で続けています。標準準拠システムの移行は令和7年12月完了予定でした。移行後にベンダーの乗り換えが本当に容易になったのか、運用経費はどうなったのかを、引き続き確認していきます。
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この記事の執筆・検証:わたなべ竜二 (朝霞市議会議員・国民民主党)
元システムエンジニア。朝霞市の暮らしの情報を、市などの公式情報と照合して掲載しています。 誤りに気づいたら、ページ内のLINEからそのまま教えてください。